トップセールスに頼ることの危うさ
「〇〇さんがいれば、うちの会社は安泰だよな」
そう思っている経営者の方は多いかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
1.その〇〇さんが、もし突然会社を辞めたら?
2.トップセールスに依存するリスク
3.トップセールスがいなくなったら?
4.トップセールスの孤独とリスク
5.「依存しない組織」への転換
6.依存しないための施策
1.その〇〇さんが、もし突然会社を辞めたら?
それでも会社は問題なく回りますか?
トップセールスに頼ることは、一見良いように見えますが、実は会社全体にとってリスクにもなり得るのです。
皆さんの会社はどうですか? 特に営業を主とする企業や、物販を事業の中心としている会社では、目標という数字が常につきまといます。 昨今では営業だけでなく、ほとんどの業務が数値で評価されるようになりました。その中でも、営業は最も分かりやすい数字の世界です。
多くの会社には「トップセールス」と呼ばれる存在がいると思います。頼りになる存在であり、会社にとって不可欠な重要人物でしょう。
しかし、その頼り方が偏ることで、会社にとってリスクとなる可能性があることをご存知でしょうか?
「いつまでもあると思うな、親と金」という言葉がありますが、トップセールスがずっと会社にいるとは限りません。また、彼らも人間です。調子の良い時もあれば悪い時もあります。
例えば、トップセールスの数字が伸び悩むことで、周りの営業担当者が「トップの人ですら達成できていないのだから、自分たちができなくても仕方ない」といった風潮が生まれることがあります。
また、トップセールスを維持するために、会社が目標を下げたり、特別な価格設定を許可したりすることもあるでしょう。このような状況になったことはありませんか?
2.トップセールスに依存するリスク
私自身、営業経験があり、営業責任者も務めた経験から言えることは、トップセールスはそこまで重要ではない ということです。
トップセールスに頼ることは、会社にとって「人質を取られている」状態に近いのです。この表現は少し過激かもしれませんが、公平性や平等性が失われる危険性 があるのです。
(例:トップセールスの成績に合わせて目標を変動させる、特別な価格設定を許可するなど)
さらに、トップセールスに頼ることで「〇〇さんがいれば、うちの会社は大丈夫」といった思考が定着してしまいます。これにより、他の営業担当者が適切に評価されず、成長の機会を失うこともあります。
3.トップセールスがいなくなったら?
冷静に考えてみてください。もし、現在のトップセールスが退職した場合、会社にはトップセールスがいなくなるのでしょうか?
そんなことはありません。これまで2位、3位、4位だった営業担当者が繰り上がり、新たなトップセールスが生まれるだけの話です。
また、仮にトップセールスが他の営業担当者と比べて大幅に成績が良い場合、それは以下の問題が考えられます。
- 目標設定が適切でない
- トップセールス以外の営業マンに十分な教育がされていない
- 組織全体の営業力が偏っている
4.トップセールスの孤独とリスク
トップセールスは、ただ営業成績が良いだけでなく、話も上手で周囲の信頼も厚いことが多いです。しかし、実は彼らは孤独な存在でもあります。
トップであり続けるプレッシャーにより、
- 無理な契約を取る
- クレームになりかねない営業を行う
といったリスクもあります。
これが会社やトップセールス本人にとってプラスになるでしょうか?決して良い結果を生みません。

5.「依存しない組織」への転換
トップセールスが必要ないとは言いません。しかし、1人の人間に過度に頼る組織では、成長が難しくなります。
これはクライアントにも言えることです。
例えば、会社の売上の大部分を占める大手取引先(トップクライアント)に依存していると、その企業の影響を強く受けることになります。結果として、取引条件を厳しくされても逆らえなくなり、「言いなり経営」に陥ってしまうのです。
これは、本当に社長が目指した会社でしょうか?
6.依存しないための施策
もし現在、人や取引先への依存が発生しているのであれば、一度その関係を切り離したシミュレーションをしてみましょう。
例えば、
- トップセールスに頼らず、営業全体の底上げを図る
- 特定のクライアントへの依存度を下げ、新規取引先を増やす
- 社内で「誰もが活躍できる仕組み」を作る
短期的には厳しくても、長期的には会社の成長につながります。
また、会社のヒーローは毎月・毎年変わる べきです。
従業員それぞれの得意不得意を活かし、
- チーム単位の目標設定
- クレームが少ない営業担当の評価
- 他部署との連携をスムーズにする従業員の称賛
など、様々な角度から評価される環境を作ることが重要です。
「トップセールス=象徴」にしないこと
トップセールスだけが注目される会社にならないために、「象徴的な存在」に依存しない組織づくりを考えてみてください。
会社は、1人の力ではなく、組織全体で成長するもの です。