従業員を尊重できていますか?
良い上司・悪い上司、良い組織・悪い組織——どんな場合でも共通して言えるのは、他者を尊重できるかどうかです。良い人材、良い組織というのは、周りの人を尊重する姿勢を持っています。
社内にはいろいろな立場の人がいるため、視点の違いからこんな声が聞こえてくることもあるでしょう。
- 「社長なのだから、この程度の仕事はやってよ」
- 「部長ならそれくらい理解しておいてよ」
- 「こんなことも知らない課長って…」
- 「部下は黙って言われたことだけやっていればいい」
会社や組織は人が集まる場所ですから、こうした“愚痴”に近い悪口や嫌味がどこにでも存在します。もちろん、清廉潔白な組織というのは現実的に難しく、「仲が良い」と思っていても、実際は個人の本音まではわからないことが大半でしょう。 しかし、良い組織を目指すのはリーダーとして当然のこと。
良い組織へ近づく最も確実な方法は、従業員や周りの人間を尊重することです。
それぞれの立場で考え方は変わる
上司は上司なりに、従業員は従業員なりに、それぞれの置かれた環境や状況によって考え方が変わります。
すべてを理解するのは不可能かもしれませんが、相手の状況を少しでも把握する努力をし、尊敬できる部分を見つけることが大切です。
営業でも言われる「相手の立場になる」大切さ
自分の思いや言いたいことを主張するのは誰にでもできますが、相手の立場に立って考える営業をすると結果が変わってきます。たとえ契約が取れなくても、悪い評判が立つことは少なく、むしろ良い印象を残せる可能性が高まります。
これは社内コミュニケーションにも同じことが言えます。
相手の良いところや尊敬できる部分を言葉にして、周りにも伝わるようにする。
そうした「他者を尊重する姿勢」が、従業員からの信頼を得る土台になります。
うまくコミュニケーションが取れない従業員へは
もちろん、どうしてもコミュニケーションが難しい従業員もいるでしょう。人間同士ですから、相性の問題もあります。
そんなときは、「自分が苦手な従業員とフィーリングが合う人」にフォローをお願いするのも一つの方法です。
相手にとっても、あなたは同じように苦手な存在かもしれません。その場合、互いに合わない者同士が無理に関わるよりも、周りを巻き込んで解決したほうがスムーズです。
過去の事例:フィーリングが合わない新入社員への対応
かつて、営業畑のチームで離職者が多く、新人を採用せざるを得ない状況に陥りました。数は力ですから、少しでも良いところがあれば採用する方針だったのですが、私自身がフィーリングの合わない従業員も多々いました。
そこで、リーダーたちに「自分とはどうも相性が合わないので、彼らをうまくリードしてほしい」と相談しました。
日頃からリーダーたちとは相互に相談・情報共有をしていたので、私にできること・できないことを理解してもらっていたのです。結果として、私が介入しない状態でもリーダーたちがうまく彼らをフォローし、チームをまとめてくれました。
その結果、私が苦手だった部分をリーダーたちがサポートしてくれる関係になり、新しい従業員も上手にリードされることでチーム全体がまとまりました。
さらに、私自身もリーダーたちをより信頼するようになり、彼らの良いところを他の従業員にも話す機会が増えました。
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みんなを尊重することで生まれる“良い風土”
誰にとっても「完璧に居心地の良い環境」を作るのは難しいですが、周囲を尊重して、みんなの力を借りながらチームや会社の風土を改善していくことは可能です。
- 従業員を批判の対象にしない
- 相手の立場に立って、向き不向き・好き嫌いを理解する
- 一緒に働いてくれることへの感謝と尊重を持つ
これらは、決して損になることではありません。
もし従業員の対応に悩んでいるなら、リーダーや他の従業員の力を借りるのも一つの手です。相手を尊重していれば、自然と助け合いの関係が生まれ、結果的により良い組織や風土づくりにつながるはずです。
まとめ
- 他者・従業員を尊重することは、良い組織を目指すうえで最も大切なポイント。
- 苦手な相手にも、できるだけ相手の立場に立って考えたり、周りを巻き込んでフォローしたりする。
- お互いを尊重する風土があれば、リーダーも従業員も信頼関係を築きやすい。
- 尊重こそが、組織・チームのパフォーマンスを高める近道である。
この考え方を取り入れることで、社内の雰囲気や人間関係をより良い方向へ導けるでしょう。