さんすくみの状態を作れ!
みなさんは「さんすくみ」という言葉をご存じでしょうか。
3つの勢力が互いに牽制し合っている状態を指し、じゃんけんの関係に似ています。
1. 一つの部署が強い会社のリスク
これまで私が見てきた会社には、以下のように特定の部署が非常に強い例が多々ありました。
- 営業が強い会社
- 技術に特化した会社
- 総務が支配する会社
- 商品管理・品質管理が強い会社
こうした会社では、社長や上司の出身部署によって部署同士の力関係や序列が決まり、権力や決定権を一手に掌握しているケースがあります。これ自体、調子が良いときは問題が表面化しないかもしれません。しかし、時代や環境が変化し、これまでの常識が通用しなくなったとき、単一の柱や単一の主導では大きなリスクを伴います。
- 営業だけの情報
- 技術だけの情報
このようにリソースが偏ると、手遅れになってから気づくこともあり、結果的に企業として弱体化しがちです。
2. 中小零細企業こそ“さんすくみ”を
大手企業や歴史のある会社は部署や役員が多く、取引先も豊富で情報量も多いもの。しかし中小零細企業は情報量が少なく、さらに1つの部署が強いと権力もそこに集中しやすい。
この状態を放置すると、発言権・支配権が一点に偏り、組織としての柔軟性を失うリスクが高まります。
そこでおすすめしたいのが、さんすくみの状態を作ることです。
3つの部署が互いに牽制し合い、常にフェアな環境を保てるようにする。そうすれば、それぞれが会社のために必要な意見を出し合い、ルールやガイドラインを整備しやすくなります。
3. 営業=売上!
だけではない
営業が強い会社では「営業こそが売上を上げている」という意識が強いかもしれません。しかし、商品がなければ売るものはありませんし、在庫管理や品質確認、給与支払いなどの業務がなければ会社は回りません。
つまり1部署だけでは絶対に成り立たないのが企業経営です。
4. 偏りが生まれる理由
社長や役員、管理職はしばしば自分の得意分野や出身部署を優遇する傾向があります。
もしあなたの会社が、気づかないうちにこうした「1つの部署が強い状態」になっているなら、すぐに見直すことをおすすめします。
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5. さんすくみを作るメリット
さんすくみを作ることで、以下のようなメリットが期待できます。
- どの部署でも“働く意義”を持ちやすい
- 自分の部署が一番下、という感覚がなくなり、フェアな環境が整う。
- 各部署の強みを活かしやすい
- お互いが対等に意見を出し合うため、情報やアイデアが集まりやすい。
- 相互チェック機能が生まれる
- 3つの部署がそれぞれを牽制し合うことで、ミスや不正、見落としが減る。
さらに、部署間に上下関係が生まれにくく、不満や不公平感が軽減されます。
6. 具体的な取り組み
自分たちのできることだけをやるのではなく、各部署の強みをテーブル(会議など)に挙げて、上下関係なく目標や課題に取り組むことが大切です。
例えば:
- 営業: 売ることに専念
- 技術(開発): 営業が売りやすい、魅力的な製品を開発
- 管理(商品管理や品質管理など): 安定的な供給・品質保持、在庫リスクの回避
- 総務・経理: 給与や経費の管理、経営状況の把握で全体をサポート
これらの部署がそれぞれを相互チェックし、協力し合う形を目指します。序列がない状態を作ることで、従業員全員が会社に貢献している実感を得やすくなります。
7. ハードルは意外と高くない
もし現在、部署間の序列や不文律が強いなら、まずは各部署が会社にとってどんな利益をもたらし、どんな役割があるのかを理解することから始めましょう。
管理職やリーダーは、自分たちの仕事が会社にどれほど貢献しているかを部下に伝え続けます。また、他部署の仕事や役割についても詳しく説明し、お互いがリスペクトできる関係をつくるのです。
8. さんすくみは必ずしも3つでなくても良い
「さんすくみ」と題しましたが、これは2部署でも4部署でも構いません。要は、1つの勢力に偏らない状態を目指すということ。
1つだけが強いとリスクが高まり、不平不満が出やすくなるので、ぜひこの機会に検討してみてください。
まとめ
- 1つの部署が強すぎる会社は、情報や権限が偏り、リスクが高まる。
- さんすくみ(または複数の拮抗する部署)を作ることで、フェアな環境や相互チェック機能が働きやすくなる。
- 部署間に上下関係がない状態を作ることで、不満や不公平感が減り、それぞれの強みを活かしやすくなる。
- 最終的には、各部署が会社のために必要な存在だと認め合い、協力して目標や課題に取り組む企業文化が醸成される。
一度、「さんすくみ」の考え方を取り入れて、組織や部署の構成を見直してみてください。