中小零細企業の管理職が押さえるべき「組織図」と「業務の見える化」の重要性
社長、役員、管理職の方にとって、会社の組織図と組織(チーム)、担当業務の見える化は非常に重要な取り組みです。長年同じ仕事や同じ会社で働いていると、当たり前のこととして見過ごされがちですが、これを明確にすることで会社全体の運営が大きく改善されます。
見える化が必要な理由
・他部門の業務内容を周知する
他部門が何をしているかを理解することで、組織全体の動きを把握できるようになります。
・従業員同士の貢献を認識する
従業員が周囲の担当業務を知ることで、チームメンバーがどのように会社に貢献しているかを理解しやすくなります。
これを怠ると、以下のような疑問や不満が従業員の間で生じることがあります。
- 「なぜあのチームはいつも社内にいないのか?」
- 「なぜあのチームは早く帰れるのか?」
- 「なぜあのチームの稟議は通りやすいのか?」
こうした疑問を放置すると、従業員の不満が蓄積し、モチベーションの低下につながりかねません。
見える化がもたらす効果
1.会社への関心が高まる
他の組織やチームが何をしているかを知ることで、従業員が会社への関心を深めるケースがあります。
2.スケジュール管理の精度向上
業務内容を整理し、公開・周知することで年間を通じたスケジュールが可視化されます。これにより、チームや担当者がスケジュールに沿った業務を遂行しやすくなり、「うっかりミス」「勘違い」「失念」を防ぐことができます。
大企業から学ぶべきポイント
大企業のIR情報を確認すると、随時、組織図の変更や廃止、新設が公表されています。これは株主への周知や上場企業としての義務に加え、企業ガバナンスの向上を目的とした取り組みです。零細企業でも、組織図の整備や業務の見える化を実施することで、以下の効果が期待できます。
- 従業員の不公平感を軽減
会社の上層部が適材適所に人材を配置しているつもりでも、従業員が「見えない」ことに対して不満や不公平感を抱くことがあります。これを防ぐには、情報を積極的に共有することが重要です。 - ジョブローテーションの基盤整備
業務内容やスケジュールが明確になることで、従業員のジョブローテーション計画もスムーズに進めることができます。

実践のためのアクションプラン
組織図と業務の見える化を実践するために、以下のステップを試してみてください。
STEP1.部署やチームを書き出す
まずは簡単に手書きでも構いませんので、会社の部署やチームをリストアップし、それぞれの業務を整理してみましょう。
例
■総務部
・[経理業務]
・[給与支払い]
・[各行政への申請等]
・[人事業務]
・[社内ルール整備]
・[稟議決裁]
・[各部署の経費管理]
・[決算報告作成]
・[四半期別報告書作成]
■管理部
・[顧客管理]
・[顧客対応(メール・電話等)]
■営業部
・[営業]
・[顧客管理]
・[集金]
・[四半期別報告書作成]
■技術部
・[新製品開発]
・[既存商品のコストダウン]
・[技術的なクレーム対応]
・[四半期別報告書作成]
■生産部
・[生産]
・[生産調整]
・[営業部との連携]
・[配送部との連携]
・[設備メンテナンスおよび改修スケジュールの調整]
・[四半期別報告書作成]
■生産管理部
・[リソース確保]
・[生産調整]
・[仕入価格の検証]
・[四半期別報告書作成]
■配送部
・[配送]
2.エクセルで部署と業務を紐づける
上記の内容をエクセルシートに入力し、各部署とその業務を明確に紐づけてください。
社長 | 総務部 | 管理部 | 営業部 | 技術部 | 生産部 | 商品管理 | 配送部 |
経営決済 | 経理業務 | 顧客管理 | 営業 | 新製品開発 | 生産 | 検品 | 配送 |
給与支払い | 顧客対応(メール・電話等) | 顧客管理 | 既存商品のコストダウン | 生産調整 | 仕入価格検証 | ||
行政への申請 | 集金 | クレーム対応 | 他部署連携 | 生産調整 | |||
四半期別報告書作成 | 四半期別報告書作成 | 四半期別報告書 | 四半期別報告書 | 四半期別報告書 | |||
社内ルール整備 | 改修スケジュール | ||||||
稟議決裁 | 設備メンテ | ||||||
決算報告作成 | |||||||
人事業務 | |||||||
役員会議 |
3.年間スケジュールを作成する
各業務を実行する月や日を記載し、年間のスケジュールを作成します。毎月・毎日発生するものは除外しても構いませんが、以下のような重要な項目は必ず含めましょう。
必要な項目
・「給与集計日」
・「経費精算日」
・「車検」や「設備メンテナンス」など定期的に発生する業務
・「決算報告」
・「月別・四半期別報告書」など経営・業績に関わる事項
これらのステップを踏むことで、組織全体の業務とスケジュールが明確になり、従業員間の理解や協力が深まります
まとめ
組織図と業務の見える化は、シンプルながら強力なツールです。これを活用することで、組織の透明性を高め、従業員のモチベーションや業務効率を向上させることができます。ぜひ、このアクションプランを実行に移し、組織運営の改善に役立ててください。